新五十鈴茶屋計画について(4) <外観>

それでは、実際を見ながら紹介していこう。
写真のまずさはお許し願いたい。少しずつ進める。
敷地北西角よりの姿を望む。
向かって正面に赤福、それと直行する形で五十鈴茶屋が建つ。この両棟の間を縫って中庭へと繋がっていく。周囲を街路に囲まれているため、全体を見渡せる。
五十鈴茶屋に沿う形で桜が連なっており、この季節は緑が建物を覆い尽くす。

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赤福の建物は、伊勢の伝統的な建築様式に依った。
妻入りで構成された外観に、下見板を全面に施すもので、これを伊勢では「きざみ囲い」と呼ぶ。特に妻面上部だけを、他の外壁より前にせり出して取りつける、伊勢町屋ならではの手法である。これを「南張り囲い」と呼び、外観に一層の特徴を与えている。
今昔を通し、台風銀座特有の、伊勢の気象条件に起因しているのかも知れない。今でこそこの外観に慣れ親しんだが、伊勢に来た当初は、やはり武骨な印象を持ったことを覚えている。
周囲には下屋を回し、2階の妻正面には出格子を設ける。

その昔、街道に面した建物は、あらかじめ軒の高さが決められていた。
おはらい町でもかつては古い町並みが連なり、それらの高さの基準があったことと思う。しかし現在残る古い建物は、赤福本店だけとなってしまった。ちなみに、この軒高で15尺だった。
京都の町屋でも丈四、丈五といって、14、15尺ほどの軒高が多いと聞く。この辺りがひとつの基準となるのかも知れない。設計では、高さを決めるときが最も苦心する。少しの高さ加減の違いで、大きくその印象を異ならせてしまうからだ。
これは大屋根に限ったことではない。下屋の軒先の高さと、暖簾との調和、それぞれに設えられる小庇と上屋根との高さ加減など、それら全体を見通したバランスで寸法の纏まりをつけていかねばならない。
建物の間口が12尺と比較的小振りなことから、少し控えて14尺5寸を軒高と決めた。
この高さをひとつの基準としながら、全体を整えてゆくこととする。

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導入路の一部を街路に開放し、中央に常夜灯を添えた。
これがいざ、形を描こうとすると結構難しい。
図面を直し直しつ、何とか形になったかと思う。

  (前田) 

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