福岡西中州の鮨店、別邸<竣工2>

全体で100㎡ほどの空間に3部屋を設けたいという。
本店は大きなカウンターに、小さな個室を2部屋設け、全体に板張りとして靴を脱いで上がってもらう形とした。別邸では小さな個室となることから、本店とは異なった趣で、全体を畳敷きの座敷として整えることにした。

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                <玄関>

そのため入口に玄関を設け、式台と寄付を設けた。
刻限を見計らい客が来ると、亭主は寄付に座して迎える。寄付には壁床を室礼って来る人を迎える。
弟子がもてなす側だからこそ、礼儀を篤くして、人との繋がりを大事にしてもらいたいとのメッセージでもある。式台には赤松を、柱は杉磨き丸太を立て、全体に数寄屋の意匠で纏めた。
来る客のために、銅鑼をあつらえて鳴らしてもらう。小さな遊び心である。

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             <玄関から寄付を見る>

個室はそれぞれ趣が異なるものとした。
入る人数もそれぞれで、客が自分の好みの場所で過ごせるようにとの配慮である。思い立った空間を並べていったのだが、寸分たがわずに納まった。これも店主の運の強さだろう。
最近は靴を脱ぐことが億劫に感じられる人も多く、どこも土足のままで入店を許しているが、やはり食べものを戴くところは靴を脱ぐに越したことはない。
それでも長く座っていると足が寒くなるようで、ここでは畳下に床暖房を仕込んでいる。

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                <嘉祥の間>

個室では一番大きな「嘉祥」の間である。
長い一本のカウンターに板場がつく。背景には薄い床を設けて小さく室礼を施し、7人程度が座れる。
カウンターには杉を用いた。樹齢200年の天然杉で、ちょうど別件で山の木を伐りだしているところ、この木と出会った。杢目がきれいで色味もおとなしい。芯去りで中杢が出るところを選んで木取りをしてもらった。
合わせる付け台の杉として、こちらは柾目の摘んだもので取り合わせて見た。
個室の中では広間的な扱いと思っており、天井は羽重ねの棹縁で静かに納めた。
各個室には焼き台を設けてほしいとのことだったので、それを板場の隅に設け、焼く姿も客から見えるようにあしらった。
狭い空間なので、灯りを極力絞って必要か所だけを照らすようにして、天井の四隅には小さな闇を作りたいと思った。

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                <嘉祥の間>

  (前田)

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