串本の町家 竣工1

先回の更新以来、急ぎの仕事が重なって入り、あたふたとふた月が過ぎた。
今日もこれから東京に行って打ち合わせと、机に座る間がない。
明日からは福岡を纏めるためとんぼ返りをせねばならず、待ったなしの綱渡りが続いている。

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                    <正面格子>

串本の町家も、引き渡して早や三ヶ月が経った。
写真の整理も間々ならずに滞ってしまったが、数回にわけて紹介したい。
最初にお話を戴いたのが4年前で、伊勢の事務所に夫妻で尋ねてくれた。実直そうなご主人と利発な奥さまというお人柄で、良い建築を建てたいと、誠意を持って望まれているのが強く伝わってきた。
取りあえず現地を見に行こうと電車を乗り継いで向かったが、正直に話すと、こんなに遠いところかと唖然とした。距離的というより、乗り継ぎが不便なこともあって相当に時間が掛かる。
そんな強烈な印象からこの仕事が始まった。

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                    <外観全景>

串本は駅前がすぐに海とあって、電車から降りると潮の香りを感じる。かつては繁栄を競い、旧市街には今も古い町家が建ち並んで往時を彷彿とさせる。
そのような環境で育ったご主人だからこそ、自分の店は「町家で建てたい」という思いが、必然として現れたのだろう。伊勢にもたびたび尋ねてくださったようで、陰ながら私の仕事を見ていただいた上で今回の依頼となった。
以前から、ご尊父が駅前に土地を求めていて、ここに新たな店を作りたいという要望だった。
駅から真正面に見える格好の土地で、形状も地盤も申し分ない。
菓子屋としての店を正面に、その裏に厨房を作りたい。また店は道路に向かって開くのではなく、露地を通ってアプローチしたい。
この3点だけが要望で、あとはお任せしたいという話しだった。

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                    <南面外観>

初回にお土産に戴いたご主人の作った菓子がとても美味しく、和菓子というと見た目で味の想像がつくものが多いが、ご主人の菓子はその想像を裏切る。それぐらい新鮮な驚きだった。
こうした菓子を作られる方だからこそ、この依頼かと妙に納得して計画に取り掛かったのを覚えている。
計画自体は順調に進んだのだが、その後に紆余曲折があって、これまでの道のりはけして平坦ではなかった。ことの顛末はまた次回として、それでも遠方の地でいい仕事をさせていただいたと、今は心から喜んでいる。
(つづく)

  前田

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