川沿いの家竣工 2.(外観、玄関)

夏以来、久しぶりに訪れたが、すっかり秋の景色になっていた。
対岸の緑も落葉し、遠景の山並みが澄んだ空に鮮やかに映っていた。
ひと夏を越し、建物の木肌もだいぶ落ち着いてきたようだ。
改めて建物を紹介しよう。

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                   <建物外観>

まずは、施主の要望を挙げてみる。
玄関に土間空間を取りたい、将来のため子供部屋は3つに区切れるように、家族が見渡せるキッチン、子供と一緒に本が読める書斎、ギターが趣味というご主人のための防音室、子供がよじ登れる大きな柱、それを全体で50坪ほどにまとめ、木の香あふれる住まいをと望まれた。
部屋数からみると延べ面積は膨らむことが予想され、面積を優先させるなら全体をコンパクトに纏める必要がある。また川の眺望を得ようと、主たる生活の場を2階にとることで、緒室を振り分け纏めることとした。

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                   <片持ちの梁>

そのため建物は総2階になったが、2階の南東にはバルコニーを矩の手に巡らせ、屋根の軒を深く差し出すことで外観を整えてみた。
バルコニーを1m、軒を2mほど差し出し、水平線を強調しつつ軒の高さを抑えることで、建物を馴染ませようと努めた。
構造がそのまま意匠になる、これも木造建築の醍醐味である。
しかし昨今、そのようなものにお目に掛かることは極めて少なくなった。簡易な作りものが主流となり、張りぼてが平然と罷り通るようになった。
ここでは、2階の床梁を胴差に担がせて外に差し出すことでバルコニーを支え、軒は小屋梁を桁にまたがせて持ち出し、そこに母屋を渡して垂木を受けている。
木はこのように、自由な架構を思うようにできる利点がある。
そんな難しいことをと人はいうが、なに戦前までの民家ならあたりまえにやってきた手法で、それを活かしたに過ぎない。
木の扱いを知った木組みは一見大胆で力強いが、その仕事は細かな心配りと、木を活かす心情を持ち合わせなければ刻めるものではない。
このように構造を意匠として見せるには、正確な意匠が描けるかに掛かっている。意匠が描けない人に満足な木組みはできない。構造は単に見せればいいのではなく、構造が見るに堪えうるかなのだ。
力の流れが目に見えるといったらよいか、そのように組まれた架構は美しい。
先人から学ぶことは、今の世でもけして少なくないと思う。

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               <玄関土間から和室を見る>

土間については以前にも紹介したが、存外好評でこれまで数棟試みている。
子供部屋や寝室といった、用途が決まった部屋はとにかく、確たる用が要求されないからこそ、既成にとらわれない使い方や、自分の想像を託せる空間として受け入れられているようだ。
今回は面積の制約もあって、土間席としてひと部屋を設けず、玄関の土間を広くとって和室と繋げることで要求に応えている。
従ってこの和室は、かしこまった座敷としてではなく、自由に座れる床座空間として土間と添わせている。人を招いてや家族間の交流など、家の中のパブリックな空間として一層効力を発揮するに違いない。

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           <玄関、左脇の引戸がシューズクローゼット>

玄関土間には、シューズクローゼットを設けた。
今や新築なら通例のようで、とかく雑多になりやすい玄関回りを助けている。
小さな内玄関とでもいえようか、暮らしのルールを建築がカバーする時代になったのかも知れない。

 
 (前田)

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