東京S邸平面計画(2)

高さのある扉を開け、若夫婦の玄関に入る。
襖向こうには、半間幅の廊下を挟んで家族室が繋がる。
廊下は両親の玄関とも繋がり、家族室は両家族が自由に使える位置にある。

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                  <2階平面図>
玄関を入ると、折階段が2階へと結ぶ。
存在感もった壁を設けて上階との繋がりを意識させ、そこに木の階段が取付く。
玄関の意匠を際だたせる大切な部分だけに、仕事の冴えが求められるところだ。板の小口を見せ、片持ちに出された梁にササラ桁が取り付く。玄関扉の両脇にはガラスを入れてアプローチの緑を取込み、階段下を吹抜くことで、より軽やかさを狙った。
階段を上がった2階突き当たりには大きなガラスを入れ、そこから見下ろすように両親の中庭が望まれる。正面塀沿いには隣家の目隠しに高木を立て、両家族それぞれの視点で眺められる庭にしたい。
階段を右に曲がるとリビングへ、左側が寝室になる。

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                  <若夫婦玄関>
寝室は屋根なりに天井を張り、ハイサイドライトが天井に朝日を伝わせる。
外には大きなテラスが接し、屋根に開けたトップライトが日差しを燦々と注ぐ。このテラスに出ると、南西角の桜と真っ向に対するという寸法だ。
道路側には目隠しに板格子を入れ、外観のアクセントにと目論んでいる。囲われたことで私室な趣きも漂う。

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                   <2階寝室>
廊下伝い右手が子供室となって、庭を巡るように格子戸を開けると、リビングダイニングに繋がる。中は大きくひと部屋に、南に向けて大きな窓を連ね、外の空間を大きく取り込む。
手前がダイニング、奥がリビングとなって北側にキッチンが繋がる。
道路から隔たるため、歩く人の視線も気になることはない。これから植える敷地周囲の植裁がリビングの目隠しとなって、開放感のなか緑に囲まれた眺めを期待している。
この地域は北側斜線といって、真北方向における高さが制限されている。北側の住居に対して日照を確保するためだが、制約から屋根の高さが低く抑えられる。
そうあっても空間は大きく取りたいと、この天井が導かれた。

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               <ダイニングからリビング>
北側を制限高いっぱいに抑え、南に登らせながら大きな開口を取る。
日差しを懐深く吸い込むような形となった。
絵では屋根を支える梁が角ものとなっているが、材料加工直前にSさんから
「丸太にできないだろうか」
と要請を受けた。急遽、材料集めに奔走して貰い、整えた経緯がある。
見慣れた赤松の丸太だが、やはり空間に座ると存在感は抜群である。
正面の壁は造り付けの家具で覆い、各種収納やテレビ、書棚などを設ける。
このリビングと矩折れには、畳敷きの書斎が設けられた。Sさんのたっての希望である。正面に障子を立てたが、図らずもここから隣地の緑が借景で望め、意外な展開だったが、緑を取り込む窓に変更するハプニングも生まれた。
リビングから書斎にかけての壁は重厚感を持たせて強く壁を意識させ、開放感たっぷりの南の連窓とのバランスを取った。丸太の梁との対比も楽しみなところだ。
この寒さの中、ガラスが入ったこの空間は、現場で最も暖かい。

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                <リビング~ダイニング>
夜ともなると、上から下からと、暮らしの灯りがこぼれることだろう。
何となしに互いの息づかいを感じ、プランの適度な距離感が、気遣う暖かさに繋がればと願っている。自立しながらもどこか繋がっている。
親と子の距離感は、私も経験者のひとりである。

  (前田)



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この記事へのコメント

三上
2009年12月31日 09:24
前田先生と面識を得られたことで、今年は、木の建築に強く引き寄せられた一年でありました。東京のS様邸で先生とお会いしてから、現場はかなり完成に近づいていることでしょう。「南部アカマツと大山大工衆 東京へ」という特集記事を掲載した建通新聞社発行の日刊建設青森を発送いたしました。新年も先生が設計された木の建築を取材させていただきます。どうぞ良い年をお迎えください。
前田
2009年12月31日 12:23
三上さん
私も三上さんとお知り合いになれて光栄です。記事も拝見し、三上さんの熱い思いを痛烈に感じます。今後とも恥じぬ建築を作るべく邁進して参りますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
相変わらずバタバタした一年でしたが、来春からはまた輪を掛けて忙しくなりそうで、クオリティーに気をつけつつ、誠意努めて参りたいと気を引き締めております。
来る歳もどうぞこれまで以上に宜しくお願い申し上げます。

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