T邸竣工ー4.(ダイニング)

リビングの奥がダイニングになる。
全体が一室に繋がるのだが、リビング、ダイニングと異なる用途それぞれの領域に、如何に独自色を持たせられるかが、LDKを作る見せどころでもある。
両方とも南西の庭に面して連なっている。

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             <リビングからダイニングにかけて>

LDKの間取りが広く用いられるようになったが、とかくリビングとダイニングが無造作に一室に放り込まれているのをよく見る。私は嫌いだ。
くつろぐ場所と食事をするところは明らかに別であり、座る椅子の高さも、必要な照度も自ずから異なる。食卓を囲みながらの家族の会話はリビングと違って、もっと人間っぽくなる気がするし、まして食卓での食事の臭いや、食後の食卓を見れば、人間の生理的な欲求を満たす場だと伺えよう。
そのように、ダイニングはあからさまに家族が交わる場所でもあって、家族がバラバラになりがちな社会にあって、家庭内での役割はけして小さくない。

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             <ダイニングからリビングに向かって>

リビングの吹抜に対しダイニングは天井を落とし、ホール入口と対角にコーナーを囲う。
キッチンはリビングの背面壁の裏に位置し、ダイニングとは横並びに繋がる。
ダイニングの天井高は7.3尺(2.200)、通常の居室を2.400程の基準としても、至って低いことがわかる。しかも椅子式のためより天井が近く感じられ、囲われ感が一層高まる。また卓が天井と近くなることで照度も上がり、強い光源を用いずとも、充分に食卓の灯りは満足する。
こうして独自な空間に仕立てている。

キッチンだが、ここでは完全に囲った。
それでも近頃の多くは、リビングに開放されたキッチンだろう。
しかし、作る場所はいつも綺麗とは限らない。各種の調味料や調理器具、洗剤やスポンジなどの必需品、調理した後、綺麗に片づけてから食卓を囲むことなど、通常では希だろう。
開放されれば、それらは否応なしに食卓やリビングから目に入る。
目に入れたくなければ、何かしら囲わねばならない。それでは主婦が隔離されると叱られようが、懸かる欠点も持ち合わせている。
それらを熟慮した上で、決めるべきと思う。
安易に格好だけに走ると、いつも雑然としたLDKになりかねない。

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             <和室前からリビングの灯りを見る>

リビングの一画には土間が切られ、玄関からのアウトドアリビングに接続する。
庭と接続する窓と違って、外部でありながらも内部的な雰囲気が漂う。
土間にはストーブがおかれ、北国の冬に備える。
家の灯りは全て白熱灯の色に合わせた。もちろん蛍光灯の白熱色だが、蛍光灯特有の白々しい灯りは冷たい気がしてならない。
暖かな家と信じて帰るのだから。

  (前田)

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この記事へのコメント

くろさか
2009年10月05日 13:16
改めて見ても良い家ですね。
HPなど写真だけご覧になった方から「暖かそうな木の家ですね」という言葉を頂いておりました。
暖房器具など一切見せてない写真から、そう感じられたのは木の肌と照明によるものでしょうが、「暖かそうな家」。設備によらない部分でのフレーズなので、とても嬉しく思った次第です。
様々な苦労もありましたが、これに携わった者達が東京に集結するのも、これもまた縁。人の繋がりも温かいものですね。
かりの
2009年10月06日 07:21
いつもコメントありがとうございます!
暖かな感じが建築から出ているなんて、本当に羨ましいですね。美しい木肌と、柔らかな床板のバランスが、光を暖かく変えているんでしょうか。東京S邸も進行しております。私も時折現場を覗いていますよ。きっと良い建築になると思います。
黒坂さんともお目に掛かれます日を楽しみにしています。

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