室礼の中の道具ー2.

祇園祭の話で、長らく中断してしまいました。
「四季の暮らしと室礼」、前田さんの講義の続きです。
室礼の中の道具、私たちは、こうした道具を駆使して暮らしを営んできました。
道具のない日本家屋での生活なんて考えられません。日本家屋と道具の関係を分かりやすく、今回も写真を使ってのお話です。それでは、どうぞ。

~ 室礼の中の道具ー2. ~

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これはお馴染みの暖簾ですね。
左は屋号を大きく染め抜いた暖簾。店の暖簾には、こうして屋号を大書して染め抜く形が多く見られます。
「暖簾を守る」、「暖簾に恥じないように」など、暖簾にはさまざまな思いとともに、それに関する言葉も多く伝えられてきました。暖簾というものを、それほど私たちは大事にしてきたんでしょう。
しかし今のお店では、こうしたのれんを掛けるところが少なくなりました。ひと目で店の内容が分かるそのデザインは、今の時代にあっても斬新なものが沢山残されています。
右は、石川県の重要文化財の住宅、「喜多家」に掛かる暖簾です。
この写真は有名で、この暖簾の柄を”立涌(たつわく)模様”といいます。
有職文様のひとつで、日本の伝統的な文様のひとつなんですね。こうした柄をアクセントとして受け入れられるんです、日本家屋は。
とても印象的な暖簾です。

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少し話からそれるかも知れませんが、現代の使い方の例です。
私の恩師の家でも、和室に椅子とテーブルを持ち込んで使っておりますが、このように空間の雰囲気に合うものを取り合わせて、椅子式の生活を採り入れる。
これもひとつの室礼だと思います。
特に高齢の方などは畳の生活がしづらくなっている昨今、こうした融通を持たせて暮らしを楽しむことも、大いに採り入れて欲しいですね。ただ闇雲に、ダイニングテーブルなんかを入れてしまうと、それこそ折角の空間が滅茶苦茶になってしまいますが、思い切って自分の趣味趣向を活かして取り合わせてみる。その中から結構面白い空間が生まれてくるかも知れません。
空間に負かされることなく、主体的に空間を使ってみること。
それこそが、”室礼”の要諦だと思います。

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左の写真、これが有名な桂離宮にある”松琴亭”という茶屋の主室です。
濃紺の紙を市松に貼った、何とも斬新な意匠ですね。建物は茅葺きで、柱に丸太を使った野趣溢れる建物なんですが、こうした要素を入れることによって、とても粋な印象を与えます。
隣りの襖が「からかみ」と呼ばれるもので、このような斬新なデザインが多く見受けられます。
このように唐紙で彩りを添えるという方法も、日本家屋では行われてきました。その意味でも、襖は日本家屋にとって道具なんですね。
日本にはかつてから素晴らしいデザイナーがいて、こうした柄はその人たちが起こした図案なんです。大きく分けて「京からかみ」と「江戸からかみ」に分けられますが、どちらもとても良い図案が残されています。
ひと部屋ぐらい思い切ってこのような大胆な柄を使ってみても、空間に良いアクセントが生まれます。是非お試し下さい。こうしたアクセントが生きるのも、日本家屋が空間として激しい色を帯びていないからなんですね。

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これはご存じの障子です。先回の講義でもお話ししましたように、これも日本家屋の道具です。特に私たち日本人は、この障子を愛してきました。紙という薄い膜で空間を遮り、寒い冬といえどもそれで通してきました。紙ですから当然、外の音も空気も通します。こと室内環境を一定に保つなど、誠に不適当な材料といわねばなりませんが、それでもずっと使ってきたんですね。
障子の白は、紙そのものが透光性を持ち、室内を明るくする性質があって、それからも「明かり障子」と呼んでいます。また障子には調湿性もあり、年間を通して室内湿度を一定に保つことも出来るそうです。
自然光を穏和にしながら、柔らかく拡散した明かりは、日本人の国民性とも合って、ある意味日本人を育ててきた大きな力のひとつだったのかも知れません。
また、今回調べて分かったのですが、「障子洗う」「障子替える」「障子入れる」「障子貼る」、この言葉何だか分かります?
実はこれ、すべて秋の季語になっているんですね。
こういう日本の道具が文学と密接しているところに、何だか新鮮な感じを受けました。障子も立派に、豊かな日本人の四季感を伝えているんですね。
秋の季語が出てきたところで、秋の室礼から見ていきましょう。(つづく)


次回からは、いよいよ四季の具体的な室礼です。
春夏秋冬、日本の四季は暮らしに大きな影響を与えてきました。
最近、こうしたものを見る機会が少なくなったなあ~。そう思えました。
それでは、次回ー四季の室礼(秋)ーをお楽しみに。

  (かりの)



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